FtMカップルが妊娠する方法 難易度別まとめ

赤ちゃん 家族づくり

FtMがパートナーと妊活をして、子どもを作る方法を、僕が知る範囲で整理しておきたいとおもいます。

他の方法や、「ここちがうよ~」という内容など、教えて頂けるとありがたいです。

※この記事では、パートナーがシスヘテロ女性である場合のみに限定します。

難易度順 妊活方法

かんたんな順から、

①提供精子によるセルフシリンジ法
②提供精子による人工授精(AID)
③提供精子による体外受精
④提供精子+クロスオーバー体外受精

の4つ

一番かんたんなセルフシリンジ法は、毎日測った基礎体温や市販の排卵チェッカーを使って、排卵日を予測しながらおこないます。

排卵日前後に精子提供者から精液を受け取ったら、あとはヘテロカップルのタイミング法と同じように、シリンジで精液を膣から入れていきます。

必要なものは婦人科体温計と、排卵チェッカーとセルフシリンジキットで、最も低い予算で済みます。妊娠率は5-10%ほど。

②の人工授精(AID)以降は、不妊治療専門のクリニックに通う必要があります。
AIDの場合は少なくとも1回2-4万円、体外受精の場合は1回50万円以上かかります。

人工授精の妊娠率は5-10%程度、体外受精の場合はお金がかかる分、30-60%と一気に高くなります。

最後の、最も難易度が高いクロスオーバー体外受精は、アメリカ、タイなど海外の病院でされた方のケースしか聞いたことがありません。

クロスオーバー体外受精とは、性別適合手術を行う前にFTM本人が卵子の凍結保存をしておき、提供精子と体外受精をさせたあと、パートナー女性の子宮へ胚(受精卵)の移植を行う、という方法です。
つまり、FTMがパートナー女性に卵子提供をする、という形です。
卵子提供による体外受精は、国内でできる医療機関はおそらくありません。海外の医療機関を利用することになります。予算は渡航費なども含めると、少なくとも100万円以上はかかるかと思われます。
「どうしても自分の遺伝子を残したい!」というFtMは自分で産むか、クロスオーバーを選択することになります。

提供精子が必要

妊娠には、卵子・精子・子宮が揃う必要があります。FtMとシスヘテロ女性のカップルの場合、当然ながら精子を持っていません。

精子を提供してもらう相手を探す必要があります。もらう相手は、家族や友人、ネットや医療機関を介して知り合う提供者など。

友人や血縁者からもらう場合は、生まれた子どもには告知はどうするのか、精子提供者は生まれた子どもの親権を放棄するなど、事前に話し合って同意した内容を書面に残しておく方もいるようです。

また、ネット上で知り合って精子提供をうける場合には、いろいろと注意が必要です。

FTM当事者夫婦の一部は、WEB上で連絡をとり、見知らぬ個人から精子提供を受けている現実がある。この状況は医学的にも社会的にも危険であり、著者らも…警笛を鳴らしている。

『週刊 医学のあゆみ』 Vol.263 No.4 2017 10/28 性の多様性に対する生殖医療の役割 中塚幹也

医学的・社会的な危険性、とは
①提供者が感染症を持っている可能性
②複数の相手に提供している場合、その数が多いと異母兄弟が増えてしまう
③提供者を装う者から性暴力被害にあってしまう可能性
④将来、子どもに告知する際、遺伝上の父親についての情報を十分に与えられない可能性

などがあります。

「シリンジで入れるよりも実際にセックスした方が妊娠率が上がる」などと、性交渉を勧めてくるなど、医学的には何の根拠もないことを提案してくる提供者もいます。正しい知識を身につけて、パートナーと安全に妊娠を目指したいです。

精子提供に関わる問題について取り上げられた記事があったので、リンクを貼っておきます。

第三者の関わる生殖補助医療とセクシュアル・マイノリティ(1)
https://www.huffingtonpost.jp/keiko-atsuta/sexual-minority_b_10713608.html

「iPS細胞で精子を作りたい」

実は、高校生の頃に、これがしたい!と思って僕は生物系の大学に行きました。ですが、今思えば短絡的だったと感じています(笑)

確かに、この分野の研究の発展は目覚ましく、理論的には可能といえる段階にまで、いよいよきているのかもしれません。しかし、こういった技術で生まれてきたヒトが「 正常に 」発育することを確認する必要があります。それを誰が試すのか、試されるのか。倫理的・社会的な課題がたくさん残っています。

今から妊活を考えている僕が、すぐに使えるような現実的な方法とは思えませんでした。
自分の遺伝子を乗せた精子が作れれば最高ですが、もしものときに生まれてくる子どもに堂々と説明できるよう、安全な方法を選択したいです。

養子縁組、里親という選択肢

血のつながりや、妊娠・出産という経験にこだわりがない場合は、養子縁組や里親という選択肢も考えることが出来ます。

この選択肢については、別の記事でまとめたいと思っています。

まずは状況把握、カップルで話し合い

FtMが子どもを持つのは決して簡単とは言えませんが、子ども作りに悩むのはシスヘテロカップルも同じです。

一般的な不妊治療と同様に、カップルで選択肢を把握して、どれくらいお金をかけるのか、どこまでやるのか決めておくとスムーズです。
一つの方法だけに絞るのではなく、まずは簡単な方法から進めて、しばらくやってみてダメなら次の方法にステップアップしていく、というのが正攻法です。

妊娠を考える場合は、ブライダルチェックやプレチェックなどと呼ばれる、妊娠のしやすさを診てくれる検査をパートナー女性に受けてもらって、妊娠しやすい状態なのかどうか知ってから、妊活計画を立てるのも良いと思います。

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